「制作活動をしている」あるいは「始めようとしている」人ならAdobeという言葉を聞いたことある人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、よく耳にするけれど、結局何なのか知らない人のために今回はAdobeについて解説していきたいと思います。
Photoshop(フォトショップ)やIllustrator(イラストレーター)といった制作活動に定番のソフトウェアも、このAdobeには関係しています。現代ではなくてはならない〝Adobe〟ですが、一体何者なのでしょうか。
通称Adobe、と呼ばれているアドビ株式会社は、定番のPhotoshopやIllustratorなど多数の画像や映像を編集・加工することのできるソフトを手掛けるソフトウェアメーカーの名前です。
米国における大手ソフトウェア企業の一つで、プロフェッショナル向けの画像・映像編集ソフトを販売する世界的に有名な企業です。
本社はアメリカ合衆国のカリフォルニア州サンノゼ市に位置し、パソコンのソフトウェアのみを扱う会社としては世界最大手として知られています。
〝Adobe〟とは、スペイン語で「泥のレンガ」という意味がありますが、社名は設立者のジョン・ワーノック氏の自宅の裏手に流れているAdobe Creek Riverという名前の川があり、そこから取ってAdobeとなりました。
当時、設立者であるジョン・ワーノック氏はゼロックスという会社のパロアルト研究所にいて、チャールズ・ゲシキー氏とともに、ページ記述言語インタープレスの研究開発にたずさわっていました。
ゼロックスの会社方針では、そのインタープレスを商用利用しようと考えていませんでしたが、ジョンとチャールズはそれらをビジネスに活用しようと考えます。
しかし、会社との方向性の違いから折り合いがつかず、彼らは独立することを決めました。
※インタープレス(ページ記述言語)…プリンターに対して描画を支持するためのプログラミング言語である。(参照:wikipedia)
そして至る1982年12月、ジョンとチャールズが独立し、新たに起業した会社が現在のAdobe Systems Incorporated(アドビシステム社)です。
その翌年の1983年Adobeにとって大きな出会いがあります。当時そのインタープレスに目をつけたApple社の創業者スティーブ・ジョブズ氏が、Appleのレーザープリンターの開発に供給することを依頼し、Adobe社とApple社は手を組むことになります。
当時Apple社は印刷機の開発を進めているなかで、Macintosh用の印刷機レーザーライターで、より高精度の印刷をおこなうためには言語が必要だったようで、ジョンとチャールズのインタープレスの技術を求めました。これをきっかけに、Adobe社は創業当初こそ、紙媒体に印刷するシステム開発を主な事業としていましたが、ソフトウェアメーカーへと転身を遂げます。
1990年にはPhotoshopの発売、続いて動画編集ソフト・PDFの開発などを通して、Adobe社は完全にデザインデータオーサリングの方向へと突き進んでいくことになりました。
加えて、1994年アルダス社を買収したことでInDesignの開発を進め、その後は2005年にマクロメディア社の買収によるFlashの開発など、企業として拡大していきますが、その一方でFlashのモバイル事業失敗など、万事順風満帆に事は進みません。
しかし、現代においてPhotoshopやIllustratorなどの有名ソフトウェアを通じて、ソフトウェア社としての圧倒的地位を獲得し、その業界においてはその名を知らない人はいないほどにまで登り詰めることができました。
デザイン関連の制作活動において、今ではAdobe社のソフトウェアは無くてはならない存在となりました。
上記のように、Adobe社では有名なPhotoshopやIllustratorを始めとして数々のソフトウェアを開発・販売していますが、今回はその一部分をご紹介したいと思います。
Photoshopは、主に写真編集を行う、ピットマップ画像編集ソフトです。
さまざまなプログラムを追加することで機能を拡張することも可能です。一般的には、切り抜き機能や加工機能を駆使した画像の合成などを行います。
詳細な設定ができることで、写真の中の余計なものを削除したり、逆にあたかも元々それがあったかのように別の写真から持ってきて追加したりすることもできます。
さらには、Photoshopはそれの汎用性がゆえに、画像編集以外での用途に使用されることもあります。
たとえば、Webデザイナーはレイヤー・グリッドツールなどを活用することでHPのモックアップ(本物そっくりの設計図)を作ることができたり、またクリエイターは白いキャンバスに水彩画や油絵のように重ねて描くレタッチを行ったりすることもできます。
Illustratorは、ベクターイメージ編集ソフトです。
Photoshopと異なる点は、その編集方式の違いです。
Photoshopが1ビット単位でのビットマップ編集を行うソフトですが、それに対しIllustratorはベクターと呼ばれる座標・色彩を持つデータを編集するソフトです。
ビットマップ形式では画像を拡大してしまうと画質が悪くなってしまいますが、ベクター形式では、拡大しても画像が粗くならないメリットがあります。
そのため、Illustratorは主にTシャツやポスターのデザインから、大きな看板や雑誌などさまざまな媒体に使用するロゴ作成においての使用が推奨されます。
Photoshopと連携して使用されるケースも多く、簡単なアニメーションやLINEスタンプの作成の際にも使われることもあります。
AfterEffectsは、映像のデジタル合成やタイトル制作などを目的としたソフトウェアです。
基本的には2Dでの映像編集を行いますが、3D空間データでの編集もでき、カメラ位置やライトの角度も3Dの空間上で移動したり、編集したりできます。
ハリウッド映画のメイキングムービーなどで見かけるような、ブルーシートの背景で撮影したものをほかの映像に合成する「キーイングエフェキト」といった機能などが備わっています。また、プログラムを追加することで、このソフトウェアも機能拡張を豊富に行うことができます。
Premiereは、Webから映画・テレビまであらゆるシーンでの映像に対応して映像編集ソフトです。
前述のAfterEffectsが比較的短い映像を制作することに特化しているのに対し、Premiereはそうした素材を一つの映像作品にまとめる際に使用されます。
ここ数年で登場してきたVR映像(バーチャルリアリティ)から、8K映像(スーパーハイビジョン)の編集まで、あらゆる形式での編集に対応しています。また、音声編集をおこなうAuditionとの連携もスムーズに行うことができます。
PremiereとAfter Effectsの違いは、「Premiere Pro」と「After Effects」の違いとは?でも解説しているため、合わせてご覧ください。
今回はAdobeの人気ソフトウェアのごく一部をご紹介しました。
どのような目的のソフトウェアかを知ることで、仕事の目的に沿ったものであるか判断し、使っていただけたらと思います。
また、ほとんどのAdobeソフトウェアは30日間の無料体験期間があります。少しでも興味のあるものがあれば、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。