近年のコロナ禍によって、非対面で自社の商品やサービスを紹介できるツールとして、VR動画を活用する企業が増えてきました。
しかし、これからVR動画を作ろうと考えている企業担当者の中には、「VR動画制作の費用相場がよく分からない」という方が多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、VR動画を作る際の費用と内訳や、費用を抑えるポイント、よくある質問について解説しました。
これから「費用対効果に見合う」VR動画の制作を検討している方は、ぜひ本記事をご覧ください。
VR動画とは、専用のゴーグルを使用することにより、ゴーグル内に映し出された360°の映像で、没入感のある仮想現実(Virtual Rearity)を体験できる動画のことです。
メタバース、不動産の内見、音楽アーティストのPV、社内研修などで活用されており、今後ますます活用の幅が広がっていくと予想されています。
VR動画の制作費用には、撮影や編集、3D・CG制作や音響・ナレーションなどの費用が含まれており、作業内容ごとに、おおよその費用相場があります。
しかし、動画制作会社のホームページでは、作業内容ごとの費用が掲載されていることが少ないため、費用相場が分かりにくいです。
VR動画を作る際に必要な、作業内容ごとにかかる費用とおおよその金額の内訳は以下の通りです。
作業内容ごとにかかる費用 | おおよその金額 |
撮影費用 | 5万円~50万円 |
編集費用 | 5万円~50万円 |
3D・CG制作費用 | 40万円~ (1,000万円以上の場合もあり) |
音響・ナレーション費用 | 3万円~30万円 |
ロケ費用(交通費、宿泊費など) | 実費分 |
キャスティング費用 | 5万円~30万円 |
あくまで目安の費用であり、制作する動画の長さやスタッフの人数によって費用が変動します。
ここからは、それぞれでどのような作業が行われているのかについて解説します。
撮影費用とは、VR動画を撮影できるカメラを使って360°撮影を行う費用のことです。
撮影には、1台で360°の映像を撮影できるカメラを使う場合と、180°まで撮影できるカメラを複数台使って撮影する場合もあります。
カメラを複数台使う理由は、360°カメラ1台で撮影することによる画素数の低下や死角の発生を防ぐためです。
その他にもシチュエーションに応じて、ドローンや水中カメラを使って撮影する場合もあります。
定点でのパノラマ写真撮影で5万円〜10万円、5分程度のVR動画撮影で25万円〜50万円程度が相場費用です。
編集費用とは、撮影した動画に、特殊効果やテロップを入れたり、不要な部分をカットしてつなぎ合わせたりする作業に必要な費用のことです。
複数台のカメラを使って撮影した場合は、それぞれの映像をなめらかにつなぎ合わせる作業(スティッチング)も編集費用に入ります。
VR動画は、編集作業に高度な技術が必要なため、通常の動画編集と比べて編集費用は高くなります。
編集の内容や動画の長さによりますが、費用相場は5万円〜50万円くらいです。
3D・CG制作費用とは、ゲームやアニメーションのVR動画を作る場合に、キャラクターの動きや背景アニメーションを3D・CGで制作するための費用のことです。
人間により近いキャラクターを作るために、フェイスキャプチャーやモーションキャプチャーなどの技術を駆使したり、より現実世界に近い街並みなどの背景を細かく再現したりするため、かなり手間のかかる作業です。
そのため費用相場も3分程度のVR動画でも40万円くらいからとなり、高いものだと1,000万円を超える場合もあります。
音響・ナレーション費用とは、撮影・編集が終わった動画に、ナレーションやBGM、効果音を付ける作業にかかる費用のことです。
VR動画の音響は一般的な動画と違い、視点や場所を変えたときに、音の聞こえ方も変わるように編集するなど、より没入感が感じられるように編集する必要があります。
そのため、一般的な動画の音響・ナレーション費用よりも高額になります。
また、ナレーションを入れる場合は、ナレーターの人件費も含まれます。
ロケ費用とは、撮影に携わるスタッフの交通費や宿泊費、場所代などの費用のことです。
動画撮影場所が、制作会社事務所から遠方となる場合は高額になり、携わるスタッフが多ければ、その分費用が増えます。
なお、ロケ費用は依頼者が意外と見落としやすい費用であるため、必ず確認しておきましょう。
キャスティング費用とは、キャストやエキストラを出演させる場合にかかる人件費のことです。
キャストが撮影現場まで移動する費用も併せて請求されることも多いです。キャスティング費を抑えたい場合は、自社の社員にエキストラを任せるなど、自社で賄うようにしましょう。
高額になりやすいVR動画の制作費用ですが、工夫次第で費用を抑えることも可能です。
費用を抑える際のポイントは下記の3点です。
それぞれ順番に解説します。
3DCGの構築量を減らせば、費用を大きく減らせます。
なぜなら、VR動画制作費用の中でも、3DCGの構築は最も費用相場が高い作業だからです。
たった3分程度のVR動画でも40万円前後の費用がかかるため、ここを減らす工夫ができれば、大きな費用削減につながります。
できるだけ短い尺で内容を伝える動画が作れないか、構成を考え直してみましょう。
VR動画を制作会社に依頼せず、既存のサービスを活用して制作することで、VR動画制作費用を抑えられます。
なぜなら、制作会社に依頼することなく、撮影・編集の工程が自分でできるようになるからです。
たとえば、「スペースリー」というVRクラウドソフトを使えば、自分で撮影したパノラマ写真や動画をもとに、VR動画の編集・作成ができます。
制作会社に依頼した場合の撮影費や編集費がカットできるため、大幅にVR動画制作費用を抑えられます。
VR動画内で使用する音響素材のやキャストを、自社で用意できないかどうか考えてみるのもポイントです。
なぜなら、BGM・効果音などはフリー素材を活用したり、ナレーションも自分で行ったりすることで、それらの分の費用がかからないためです。
自社で用意した音響素材を使ってもらうように制作会社へ依頼すれば、音響・ナレーション費用を抑えられる場合もあります。
キャスティング費用も、自社の社員に出演してもらえば、大きく抑えられるでしょう。
VR動画を制作する際にいただくよくある質問は下記3つです。
それぞれ順番に回答します。
カメラで撮影した写真をもとに制作する場合と、3DCGのVR動画を制作する場合で、大きく制作期間が大きく変わります。
カメラで撮影した写真をもとに制作する場合は、1〜2ヶ月程度の制作期間が必要です。
3DCGのVR動画を制作する場合は、現実世界にない空間を作り上げていくため、デザインに関する打ち合わせや、編集作業の手間を考慮すると、3〜4ヶ月程度の制作期間となります。
VR動画は、不動産業界・小売業界・医療業界など、様々な分野で活用されています。
たとえば、不動産業界では、アパートやマンションの内見を、現地へ行かずにVR動画を使って店舗や自宅で確認するために活用されています。
完成前のマンションの内見も、3DCGにより再現されたVR動画を活用して行っている企業も増加傾向にあり、VR動画を活用する企業はますます増えていくでしょう。
また、小売業界では、VR動画を活用して仮想店舗を出店し、自宅に居ながら、まるで店舗にいるかのような感覚で買い物ができるお店を出店している企業もあります。
VRコンテンツへは、画像や動画、テキスト情報、クリック動作と連動したポップアップウィンドウの表示、外部サイトへの遷移など、様々な機能の埋め込みが可能です。
また、ライブ配信ができるVR動画を提供できるサービスもあります。
VR動画は、写真や通常の動画では伝えることのできない「空間」をイメージさせることができる、非常に便利なツールです。
しかし、VR動画は通常の動画制作にかかる費用に比べて、高額になる場合が多いため、「VR動画を使って売上アップにつなげられるのか」をよく検討することも大切です。
VR動画を制作会社に依頼する場合は、できるだけマーケティング視点で目的に合わせたプランニングができる会社へ依頼しましょう。
もし制作費用を抑えたい場合は、3DCGの構築量を減らしたり、素材を自社で準備したりするのもひとつの手です。
本記事を参考に、費用対効果に見合うVR動画を制作しましょう。