今回は弊社CapWorksでメインで使用しているカメラについてご紹介したいと思います。ご依頼をいただくシチュエーションは様々で、室内での撮影、室外での撮影、被写体が動く・動かないなど撮影環境はバラエティーに富んでいます。いつでも良いパフォーマンスを発揮するためにも、自分自身の知識やアイディアは当然のことながら、機材の選択もとても重要になってきます。カメラブームにより、なおのことあらゆるメーカーから多種多様なカメラが登場しました。そのなかで弊社がメインで使用しているのは「SONY PXW-FS5」です。
まず見た目の特長は小型・軽量であること。大人数スタッフをかかえる大手プロダクション会社とちがい、荷物が多くなればなるほど人手も課題になってしまうので機動力の高い機種であることは大きな利点といえるでしょうか。しかし大きな衝撃はその機能にありました。
4Kスーパー35㎜CMOSセンサーが搭載されており、撮影素子は総画素数約1160万画素、有効画素数約830万画素です。また、トータルラチチュード14stop記録しているので小型化されていても、SONYの高画質技術はしっかりと受け継いでいる機種です。
「ラチチュード」とは簡単にいうと、フィルムが捉えることのできる明るい部分から暗い部分までの再現可能な幅のことを指します。デジタルカメラで言うところの〝ダイナミックレンジ〟と同じですが、たとえば非常に明るいものと暗い物を同時に撮影する場合、具体的に言うと逆光で太陽の光を背にした人物を取る場合などはこの機能が低いと、被写体はぼやけてしまい、明るい部分は白飛びしてしまいます。朝日などの太陽の光を浴びているススキの穂が良い例で、白とびしてしまうと、毛の質感などがうまく再現できずのっぺりとした映像・写真になっていしまいます。
そして、待望の電子式可変NDフィルターを販売当時では世界初搭載。大判カメラとして世界で初めて搭載したこの機能は、1/4-1/128までスムーズに濃度調整が可能。露出調整の幅を飛躍的に広げてくれました。明るい部屋から暗い部屋に被写体が移動したり、車内から外を撮影する際にトンネルから抜ける瞬間など、これまではフィルターを入れ替えることで露出濃度を調整していました。しかし、切り替わる瞬間がどうしても画面で見えてしまっていましたが、このフィルターのおかげで自動で滑らかに調整が可能になり、よりさまざまなシーンでの撮影に対応することができます。
本体だけに劣らず、レンズこそが写真や動画の表現を豊かにしてくれます。弊社スタッフ一押しのレンズは富士フィルムからでた〝FUIJNONMKレンズ〟
カテゴリとしてはシネレンズと呼ばれる、動画(映画)用に設計されているレンズで、ふんわりとした柔らかい描写からくっきりとした綺麗な描写まで、自分が欲しい表現で自由に撮影することができます。大きな特長として、フォーカスがマニュアルとなっており、スチルレンズに比べてフォーカスリングの回転角が広く、フォーカス合わせやフォーカス送りがしやすいところ。また、ズームリングも滑らかにできるので演出としてのじわっとしたズームが可能です。なおかつ、フォーカス送りの際に置きピンができるので、被写体に対して望遠で撮影している際、フォーカスを合わせたままにズームをすることができます。(ズームしてもフォーカスがぶれない)
本体は軽くて使いやすい。長さは約21cmありますが、一般的な一眼レフのレンズと同等のサイズと比べるととても軽く持ち運びに負担がありません。マニュアルで設定する要素が多いですが、フォーカスにしてもズームにしても手持ち状態で使いやすく、解放気味で使用すればシネマティックに、絞り気味で使用すればビデオライクに、と両側面で適応してくれるレンズかと感じます。
マクロ機構がついているのも特長。広角で一番外側のレンズ(前玉といわれる一番本体から遠いレンズ)から63cmあたりが最至近撮影距離ですが、マクロ機構を使用することでおよそ12cmあたりまで近寄って撮影することができます。
今回は弊社がメインで使用している機材の紹介をしてみました。とは言え、まだまだ私たちの勉強中であり、発展途上でもあります。自主映画制作のように、ただ自分たちが撮りたいものを自由に演出して撮っていくことが目的ではなく、私たちにはクライアントがいてくださることで、初めてお仕事をさせていただいております。お客様の希望するイメージ・理想により近づくためにも多様なシチュエーションに適応できる準備を日々進めております。
昔はあこがれの映像や演出を真似てやろうとしても、環境を整える厳しさからできないことばかりでした。しかし、今では決して安いものではありませんが、大きな資本に頼らなくても手の届く範囲で高品質・高技術を搭載した機材を揃えることができるようになりました。しかしそれら条件はどの会社も同じことなので、これからも日々新しいモノに触れ、経験を重ねて、精進していきたいと思います。