PremierePro(プレミアプロ)とAfter Effects(アフターエフェクト)、どちらもAdobe(アドビ)が販売している動画編集ソフトです。
これから動画編集を勉強しようとしている方はまずどちらを選べばよいのか迷うかと思います。それぞれ得意なことと不得意なことがあるので、今回はこのふたつソフトウェアの特徴や違いをご紹介します。
クリエイティブに関わる様々なソフトを提供しているAdobeのソフトの中で、動画の編集に特化しているノンリニア編集※のソフトウェアがPremiere Proです。
Premiere Pro は、素材となるムービーのパーツを時間軸に並べて編集することができます。いくつものカットをつないだり、簡単なテロップを入れたり、YouTubeの動画や2時間程度の比較的長めであまり複雑ではないムービーを作成する場合に使用されています。
Premiere Proではタイムライン上でカットの編集や合成、静止画の挿入などを行うことができます。最近はスマートフォンで簡単に動画編集できるアプリなども開発されており、動画編集できるソフトは他にもたくさん存在していますが、より高度で細やかな編集を可能とするPremiere Proはハリウッド映画など、プロの映像の世界でも多く利用されています。
※ノンリニア編集(Non-linear editing)
デジタル化した画像データをもとにコンピュータを使用した非直線的な映像編集方式のこと。
Premiere Proの機能としては、以下のようなものがあります。
撮影した動画をトリミングしたり、2つの動画の切り替わりの際にトランジション※を加えることができます。Premiere Proにはこのトランジション※の効果が他のソフトに比べてたくさん搭載されております。
※トランジション
動画編集の際にカットとカットの間に挿入する切替効果のこと(フェードイン/フェードアウト/ワイプ/おーバーラップ等)
動画の上にテロップや文字を挿入することができます。文字のフォントも豊富で、テロップのアニメーションの効果もバラティに富んでいます。
カラーグレーディングとはカラー補正のことで映像の明るさや色彩、色調を調節することです。Premiere Proでは細かなカラーグレーディングが可能です。
360度の映像であるVR映像も編集することができます。今後VR映像の需要が高まっていくと考えられるので、自分でVR映像を編集できるのは嬉しい機能です。
映像のデジタル合成やモーショングラフィックス制作などを目的としたソフトウェアで、業界で最も支持されています。映像を加工したり、エフェクトを追加したり、素材のない0の状態から映像を創ることができ、10秒~5分程度の短い映像作りに向いています。そのため、みなさんがよく目にされるようなテレビCMや映像広告、テレビ番組で流れるような複雑な映像もAfter Effectsが使われていることが多いです。
After Effectsの機能としては以下のようなものがあります。
After Effectsでは素材(動画や静止画)をレイヤーと呼び、コンポジションに配置したのち、並べ替えたり組み換えたりして作成することができます。
炎や煙、キラキラなどの効果をつけることができます。
Illustratorなどでつくった図形やキャラクターに動きをつけたアニメーションを作ったり文字を動かすことが可能です。
モーショングラフィックスとは文字や図形に音や動きをつけることです。映像や写真、イラストや文字などを素材に映像をつくることができ、最近ではウェディングムービーなどでも多くモーショングラフィックスが用いられています。
After Effectsには、レイヤーに適用する数多くのエフェクト機能が用意されています。エフェクトをかけることで色の補正やイメージの変形、新しいビジュアルの追加などを行うことが可能です。映像の編集作業やCM制作、アニメ・ゲームのコンテンツ制作など、幅広いジャンルの現場で利用されています。
このふたつの大きな違いとしては加工と編集のどちらをメインとするのかというところにあります。上記で説明してきたとおり、Premiere Proは映像をつなぎ合わせる動画編集を得意としているため長めの映像編集に向いており、After Effectsは映像を加工し特殊効果を加えることを得意としているため、短めの映像編集に向いています。
実際の編集画面の違いとしてもPremiere Proでは映像の新規作成、読み込みを行うと“タイムライン”という領域内に帯状に表示され、開始地点から修了地点に向かって時間の経過が表され、全体像を見ながら映像を編集することができます。
一方、After Effectsは映像の新規作成、読み込みを行うと“レイヤー”という層の形に置き換えられて表示され、どんどん素材を重ねて編集していくような方法となっています。
自分が作りたいもの、目的がどのようなモノなのかによってどちらを使用するかを決めましょう。
また、このふたつのソフトを使い分けて連携すると、より迫力ある映像やコミカルな映像を創りだすことができます。Adobe社が出しているソフトはほかのクリエイティブソフトとの連携ができるため、 Premiere ProとAfter Effectsは連携することができます。Adobe Premiere ProとAfter Effectsは他のAdobeのソフトと同様、毎月料金を払うサブスクリプション型のソフトです。(月額2,480円)ソフトを一度購入したらそれをずっと使い続けるのではなく、クラウド上にあるソフトをアップデートしながら使用する方式となります。そのため、新機能の追加など常にAdobe側で更新され日々進化していくソフトを、最新の状態で使い続けることができることも魅力のひとつです。
ぜひこのふたつのソフトを上手く駆使してより高度で効果的な映像制作を行ってみてください。