ありがたいことに、現在に至るまで、様々な幅広い商材の広告制作をさせていただきました。商材のジャンルが違えば、撮影の方法も様々です。特殊な撮影はたくさんありますが、今回はどのような撮影があるのか、制作目線にはなってしまいますが、一部ご紹介できればと思います。
今回ご紹介する内容はこちらです。
・ビューティー
・フード
・水、泡
・子役
・スタントアクション
・CG合成
主に化粧品などの広告は「ビューティー」と呼ばれています。ビューティー案件ですとほとんどの場合、肌を美しく撮る撮影になります。
ビューティー撮影において大事なことは、商品を使ったときの仕上がりの質感やイメージを目指して作ることです。その商品のアピールしたい特性は、しっかりとしたカバー力があることか、自然な仕上がりか、によって目指す絵作りが変わってくるでしょう。クリエイティブディレクター、アートディレクターとチェックを重ねながら、制作を進めていきます。
いくつかビューティー撮影におけるポイントをご紹介します。
ビューティー表現が得意な監督やカメラマンがいらっしゃるので、そのような専門知識のある方に依頼することが多いです。
ヘア、メイクの専門の方と打ち合わせをしてイメージを練ります。商品の説明、企画の説明、モデルの情報などを元に、アイデアを話し合います。場合によってはテストをされることもあります。
ビューティー撮影に向いているカメラ機材と向いていない機材があります。美しく表現するには画質が荒いものですとよくありません。予算や広告媒体などに基づいて、ベストなものを技術スタッフと選びます。
また、ビューティー案件においては、ライトの量はあまりにも減らすことは難しいでしょう。
撮影当日はなるべく、スタンドインはキャストとなるべく肌の色が近い方にお願いすること(ライティングなどの微調整のため)、早朝や深夜、長時間の撮影よりはなるべくキャストの肌や体力の負担にならないように香盤などを配慮すること。細かいですが、このような気遣いは大事になります。
それほど繊細な作業を行っています。
商品を使ったときの仕上がりの質感やイメージを目指し、レタッチを行います。1秒30枚ある画を一枚一枚修正していく根気のいる作業です。シミシワの特にない方でも、どうしても色味のムラやクマなどがあることがあります。不自然でない程度に行っていきますが、ここでもスタッフとチェックを重ねながらイメージに向かって仕上げていきます。
食品を撮影することを「フード撮影」と呼びます。
食べ物が美味しく映るように調理をしてくださる「フード」と呼ばれる専門の方がいらっしゃいます。ただ、美しく盛り付けをするのではありません。美味しそうな映像に撮れるように、様々な知恵を持っています。
カメラ前でフードを素早く調整したり、何度カットがかかっても、すぐに次の料理が暖かい状態で出るようにスタンバイをされたり、現場では一番慌ただしく動くのがフードさんです。
本番までの準備が重要ですので、フードのテスト撮影を行うことが多いです。テスト撮影では、フードや調理シーンのアングルチェックだけでなく、フードの焼き加減や盛り付け、お皿やお箸の種類なども確認したりします。
制作スタッフはフードさんのサポート行いましょう。料理を現場に運んだり、次カメラ前に何が必要かなど先の情報をフードさんに早めに伝えていくことで、滞りなく撮影が進んでいきます。
水や泡を扱う撮影もたくさんあります。例えばボディーソープやシャンプー、洗剤などの商材ですと扱う場面が多いでしょう。
泡立ちなどは商品の特性の一つです。その商品らしい泡がどのようなものか、イメージを事前に固めておき、撮影現場で素早く作れるようにしましょう。泡師という、泡を作る専門の方もいます。
キャストの方がもし泡や水を触られる場合は、気配りが大事です。キャストの衣装、室内温度を配慮し、体が冷えないようにホットタオルを用意し、ホットタオルで泡を拭き取ってカットを重ねたりもします。
素早く素材を撮影していくことが一番キャストに負担になりませんので、泡を作ったり、拭いたりが素早く行えるようにシステムを考えておくことが大事です。
また、何度もタオルでふきとったり、石鹸や水によってキャストの肌が荒れてしまうこともありますので、ケア用品やクリームなども用意します。
キャストが子役の撮影もたくさんあります。
子役が得意なキャスティング会社がありますので、利用すると良いでしょう。キャスティングを挟まずに、直接事務所にご連絡をすることもあります。
CMの現場でオーディションを行いキャストを決める際、第一候補、第二候補までお声かけして、ダブルスタンバイをすることが多いです。5、6歳くらいまでの年齢の子役ですとそのような形をとります。理由としては、第一候補の子役が体調不良によって当日撮影ができなくなったり、撮影現場という特殊環境ですので、当日にぐずったり、撮影を頑張っていても途中でご機嫌が斜めになってしまって、撮影が進まなくなることがあるからです。
なるべく集中力が切れないように、ご飯の時間を工夫したり、おやつやおもちゃなどを用意しておく心配りも必要です。明るくコミュニケーションをとって、現場を進めていきます。
特殊な撮影についていくつかご紹介いたしました。
まだご紹介できていない下記の2つにつきましては、
・スタントアクション
・CG合成
次回の「特殊な撮影いろいろ②」にてご紹介させていただきます。よろしければご覧ください。