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2020.6.20

特殊な撮影いろいろ②

前回は特殊な撮影いろいろ①にて「ビューティー撮影」「フード撮影」「水、泡を使った撮影」「子役の撮影」についてご紹介しました。まだまだいろんな手法を用いた特殊な撮影現場があります。
今回も引き続き、いくつかご紹介したいと思います。

 

スタントアクション

スタントとは、「妙技」「離れ技」のことです。 映画などにおいては自動車からの飛び降りや高層ビルからのつり下がりといった危険な演技を指します。映像技術の発展により、ワイヤーアクションを撮影した後、デジタル合成することで危険な演技を実際に行ったかのように表現することが可能となりました。

スタントマン

特殊訓練を行っているスタントマンを抱える事務所に問い合わせ、キャスティングをします。メインのキャストに似た人をオファーするいわゆる代役を依頼する場合や、スタントマンを直接キャストとして起用する場合もあります。スタントの内容によって、得意不得意適切な身体能力の方を事務所から紹介していただけるので、安全のためにしっかり企画や演技の内容をお伝えします。

スタントマンには依頼しない程度のアクションを行う場合

「スタント」ではありませんが、キャストに少し体を使ったアクションをお願いする場合も、よくあります。
そのような企画でしたら、オーディションでキャストを決める場合は身体能力についての確認などを行うようにします。実際に似たような動きをオーディション会場で行ってもらうか、スポーツ歴などを聞くのが有効です。
また、タレントやキャストが決まった時、撮影日に向けて多少練習をしてもらう場合もあります。

撮影スタンバイ

例えば、トランポリンを使った撮影は、トランポリンのみを準備すればいいわけではありません。撮影するにあたり、どれくらい高く飛ぶ必要があるか、その高さを飛ぶにはどのくらいの大きさのトランポリンを用意しなければいけないか、レクチャーをする人が必要か、安全マットはどれくらい必要か、(どのような保険を適用するか、、)、各所専門の方にアドバイスを貰いながらとにかく安全第一にスタンバイをします。

ちなみに実際に行った撮影では、競技用組み立て式トランポリンを一台に、トランポリンと同じ高さの安全用マットを両側に、残りの2辺にはトランポリンの高さではありませんが厚いマットを置いて、マットでトランポリンの四方を囲む形で用意しました。
もちろん撮影内容、演技内容によってトランポリンの大きさなどセッティングは変わります。専門の方のアドバイスに基づき検討するのが良いでしょう。

▼トランポリン&マットのセッティングイメージ例

トランポリン自体の高さが1.5mほど、そこから、カットの尺を考えると1.5m以上飛ぶ必要性もありましたので、飛んでいる時は地上から3mくらいの高さにいることになります。

(▼写真はトランポリン搬入前のライティング中の撮影現場。高さ約3mに人物の頭が来ることを想定し、仮のスタンドインを設置しています)

確認と練習のために、本番で使用するトランポリンを撮影前にレンタルして、体育館でキャストと一緒にテストを行いました。実際に飛んでみると3mの高さに飛ぶのは怖くて、飛びながらイメージしている体勢をとることは容易ではありませんでしたが、キャストがテスト前にもトランポリンの練習場に通ってトレーニングをしてきて下さったおかけで、1.5m以上飛ぶこと、イメージに近い体勢をとることがクリアでき、本番も安全に行うことができました。
 
実際に行ってみることで想像以上の恐怖感や、トラブルに気づくことがあります。怪我や気持ちの大きな負担がないように準備が大切です。
スタントマンに発注する際も、撮影を安全に進めるために様々な想定をしながら入念な打ち合わせやテストが必要です。

 

CG合成

CGで作った映像を撮影データに合成することをVFXと言います。VFXは主に撮影後に行う作業になりますが、撮影後に撮影データをCG屋さんに渡せば、いい感じに合成してくれる、というわけではありません。撮影前からの打ち合わせが必要なのです。

現場で撮るもの

例えば人物が一人映っている素材に、金のキラキラしたCGの紙吹雪が舞っている様子を合成する場合、どのような撮影素材が必要でしょうか。

    ・人物を撮る
    ・空舞台を撮る(人物なしのこと)
    ・素材に、イメージに近い金のテープを舞わせて撮る
    ・360°カメラで環境を撮る

 

実は、上記のような複数の素材が必要になるのです。金の紙吹雪のCGを一から作るより、撮影した実写を元にCGの紙吹雪を作成した方が断然にクオリティと効率が上がります。実写の金の紙吹雪の光の反射や影、映り込み、紙吹雪の動きは実写を参考に作ることでリアリティが増します。
また、撮影に使用したカメラ機材とレンズのミリ数も控えます。
コンピュータ上で、撮影現場と同じ環境(カメラのセッティングやライティング)を再現することで、映り方が実写とバッチリ重ねあわさるCG映像が作成できるようです。そのため、カメラ機材とレンズのミリ数、360カメラの情報を用いるのです。
 
作成するCGによっては「カラーチャート」をセット内でで撮影することもよくあります。これは、光源の色味などを記録するためのもので、CGを環境に馴染ませるには重要な情報です。それにセットになっているグレーと鉄のようなボールは、陰影や、映り込みの情報を得るためのツールです。

クロマキー合成

グリーンバック撮影は一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。比較的簡単に合成を行うこともでき、Macに備わっているi movieというソフトでもこちらの機能が使用できます。

実はクロマキー合成はグリーンバックだけではありませんブルーバックもあります。ブルーの正式名称は、サウスシーブルーです。
クロマキー合成にグリーンサウスシーブルーが用いられるのは、人の肌の色と補色関係にあり、一番マスク抜きがしやすいとされているためです。

グリーンかブルーかを選ぶ際は、CGスタッフ・技術スタッフにどちらが作業しやすいか尋ねましょう。被写体の色や、合成後の色の兼ね合いで、どちらが作業しやすいかが変わります。

 

いかがだったでしょうか。
2週に渡り、様々な現場をご紹介させていただきました。

今回は実写撮影のみならず、合成のための素材撮影についても触れました。合成だけではなく、撮影において大事なことは、編集を考え、逆算をして素材を撮ることです。
スタントを使う・使わない、CGか実写か、、企画内容や予算、目指すイメージによってベストな方法もかわっていきます。私たち映像制作会社は経験を元に、完成イメージを踏まえてベストな撮影方法を選択していきます。

     

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